JIA港地域会 活動報告
第38回 車から人へ、未来の道とは
パリを筆頭に、「ウォーカブル・シティ」と呼ばれる徒歩15分圏内の街づくりに関心が高い。移動手段が公共交通と徒歩に変わり、バルセロナでは30年間で車が減り道路面積70%を人に開放した。街路に緑と安全な場が存在する。車社会がもたらす弊害は、地球には気候変動、人には運動不足と健康被害をもたらしたが、それを解決する街づくりである。「車から人へ、未来の道とは」をテーマとし、未来の道はどうあるべきか、考えてみよう。
第37回 建築を女性の視点で再考する
先日ショックなニュース(NHKクロ現)を見ました。東京23区内の公衆トイレの62%から女性専用ブースが消えたとのことでした。多様化の時代において多機能トイレが必要とされ、面積の関係で減らされたことが原因です。公園法により建物が2%までしか作れない法律によるものと報道されていました。結果、女性や子供にとって安全上怖くて使えない状況が生じているとのこと。多様化の時代となり、突然女性専用はいらないと言う話は本末転倒な話です。誰にでも優しい社会にしようとする対応が、防犯安全が必要な弱者を無視しているのは如何なものでしょう?建築における女性への視点は今まで考慮が足りなかったことが多々あります。今回は『建築を女性からの視点で再考する』ことをあえてテーマとして、多様化を考えることと同時に、これまで見落とされてきたことに真剣に目を向けてみたいと思います。
本を巡りながら、時を繋ぐ 『新・建築家の本棚』
杉並地域会 x 港地域会 国際文化会館 特別見学会+トークイベント「私の一冊」
岐路に立つ時に導いてくれる本がある。足元しか見えなくなった時に前を向かせてくれる書物がある。誰にでもそんな経験があるのではないでしょうか。
「新・建築家の本棚」は、様々な知の体験について本をツールに語り合う、ちょっと変わったブックイベントです。
第36回 コロナ禍を経て・・・ウチ(家)を感じる生活と装置
『ウチ』という言葉には様々なシーンが想像出来るが、いつもその言葉から始まる言葉の内には主体的な側面を感じることができた。その主体的なことが今や平均的な価値観の中で埋没し掛かっ ていると感じているのは僕だけでは無いだろう。多くの人が理想よりも現実的で平均的な姿を求めているように、僕には観えてきている。家庭という場も今やグローバルな世界のなかにある意味直結していると言える現在だが、同時に足下の個性を現す最もシンプルな『ウチ』としてのイメージが限りなく希薄になっていないだろうか?そんな平凡で大切な事をこのコロナが収束しつつある中で考えてみたいと思う。今、新しい『ウチ』のシーンがどのように語られるか楽しみであり、いい機会になることを期待したい。
第35回 JIA沖縄大会2022テーマ 失われたことでみえてくるもの〜沖縄の建築からの学び
今回は、2022年JIA沖縄大会にちなんで、首里城の復元と消失、そして、再構築に向かう今、沖縄の風土と建築の特徴について考えます。沖縄の建築や精神性について、3人の建築家が、その深い魅力について語りました。
第34回 『街とつながる住まい方の提案』事業計画とセットで作る「稼げる」住まい
このコロナ禍にあって、普段暮らしている地元の街に目を向けた方も多かったかと思います。今回は建築設計業を営むかたわらで、自らが事業主となり、街のにぎわいに貢献する建物を設計・運営している寳神尚史氏に、「街とつながる住まい方」というキーワードで、どのようにして建物を生み出していったのか、そしてその魅力、運営ノウハウまで語っていただきました。
第33回 「ウィズコロナ時代と建築」拠り所を求めて
2020年のコロナ禍は人と人との関係に大きな変化をもたらしました。家族との関係がより身近になると同時にWEBの力によって遠方の人々との交流が密度を増しています。しかし、今まで日常的に交流のあった人と人の関係は日増しに疎くなっている状況は否めません。このような変化の中で私たちは「拠り所」をどこに求めていくのでしょうか?ウィズコロナ時代の生活空間、私たちの習慣の今後のあるべき姿、建築に出来ること、建築の未来を、原点にたちかえり考えたいと思い、慣れない中での初めての遠隔マスセミナーとして開催しました。
第32回 「5G時代の建築」建築家が考える建築の未来
”5G時代の建築”「建築家が考える建築の未来」と題して、今日の技術革新が進んでいった先の社会を見越し、建築や都市がどう変わっていくのか、また変わらないものは何かを会場にお越しの皆さまと一緒に考えてみました。
第31回 気持ち良い空間のための「繋ぐ」建築
建築は、風雨から身を守るシェルターという役目があります。このために床、壁、屋根を設けることになりますが、光や風を内部に取り入れるためには、開口部を設け、外と中とを繋げることになります。つまり建築家は、あれこれ工夫して繋げる設計により気持ちの良い空間を作っているとも言えそうです。空間的に繋げるか、視覚的に繋げるか、動線的に繋げるか、色々あるかと思います。各建築家がどのように繋げているか、建築の祖形との関係を含めディスカッションできればと思っております。
第30回 人と空間
すこし肌寒い土曜日の昼下がり、JIA会館に多くの一般参加者を集めMAS30が行われました。今回のテーマは「人と空間」。とても身近なテーマに見えますが共通点を見出すには難解なテーマでありました。その中で、「空間は人が意識して初めて現れるもの」は大事なポイントであり、「意識」に焦点を当ててみると空間が理解しやすくなります。
第29回 素材・光・建築
建築の祖型という年間テーマに呼応して、建築の原点ともいえる「光・素材・建築」というテーマでセミナーを開催しました。建築の設計デザインに携わるものは、光、素材をどのように扱うか、その視点はさまざまです。自然光の固有の価値を考えたり、キリスト教の教会が発展させてきた光のデザインについて語ったパネラーの話は、時代を超えて建築が作り出すことのできるものの可能性を示していると感じました。参加者からの発言で、教育空間の子供に対する光の持つ意味について語った方がおられたり、東洋と西洋の光に対する考え方の違いなど、風土的、文化的な違いも考えてくださった方もおられました。
第28回 素なることと多様な相
今年度のMASセミナーでは「建築の祖型」を考えるというシリーズを考えています。前回の建築と平和から始まり、今回で2回目となります。「祖型」とは宗教学者のミルチャ・エリアーデの言葉で、超越的な起源をもちこの世の初めに啓示された慣例の規範と行動の規範ということです。人と人を関係させる建築のあり方、建築の原点に想いを馳せていきたいと考えております。 今回は、今年のJIA全国大会のテーマ“素なることと多様な相”について私たちも考えてみることにしました。
第27回 平和と建築
歴史を俯瞰して見ると世界のどこかで常に平和が脅かされている。平和を紡ぐものは何か? そのひとつに実は建築や美しい街並みがあることに気ずいて欲しい。その美が普遍的である時、それは民族や国境を越えた価値をもつものに至るということになる。そして更にひとりひとりがその美を創ることに何らかの形で参加する経験を持つ時、美は日常のものとなる。今の日本の社会で自身の家を「建てる」といった人生の貴重な機会を「購入する」ことにすりかえてしまっているひとがどれ程多くいることか、残念でならない。
第26回 あの人を案内したい港区
観光地としての日本のよさは、歴史が長い・古いものが多い、と言うだけではなく、その歴史・過去の時代がそのまま途切れずに現代につながっていることにあるのだと聞きます。とおい世界史の記憶を呼び覚ましてみても、ヨーロッパにはルネサンス以前と同じ場所に同じ人が住み、文明を繋いでいる地域はありません。ほぼすべての地域が互いに征服をし合って、すなわち過去の他者の文化に自らのものを上書きして未来に申し送っているのです。東南アジアも中国も同じです。
第25回 クリエイティブ〔アーツ〕コア「隠された領域を拓く」
今、在日外国人ケント・ギルバートやデヴィッド・アトキンソンが人気なのはご承知でしょう。
日本人を外から見れる人が中韓を語り、最近の観光ブームを助けているのです。このことから、我々だけではどうしても理解が至らない認識がまだありそう、ということを感じませんか。
今回のテーマは日本の話、つまり自分たちの話なのです。
第24回 都心に住まう・集まって住まう◯と×
都心回帰の流れのなか、都市部での人口が増加に転じて来ている現状がある。そこには、良かれ悪しかれ、都心の大型・高層マンションの建設ブームが、これを後押ししている状況が読み取れる。一方、複数の住人達が一つの建物を共有して住まう住スタイルの歴史は、日本人にとっては決して馴染み深いものとは言えない。寄り添って住まう形態も、様々な形が想定されるだろう。
第23回 2020東京オリンピック・パラリンピックをきっかけに何ができるのか?
今回のテーマは「2020東京オリンピック・パラリンピックをきっかけに何ができるのか?」です。オリンピックレガシーという言葉がTVや新聞で語られるようになってきました。これはオリンピックの良い遺産(レガシー)を開催都市に残すことを推進するという意味ですが、ロンドンオリンピックでは、地域の街づくり寄与する計画を目指し成功しました。さて東京ではどうでしょうか?
第22回 景観と屋外広告
毎回のことですが、MASはワークショップ的な議論を展開する場であり、登場する地域会メンバー、参加者にとり多様な意見をぶつけ合うことが可能な場である。今回第22回目のMASセミナーが6月4日13:00~15:00にJIA会館一階ホールにて開催された。冒頭に、今井会長より、港地域会野老初代会長の御子息である野老 朝雄(ところ あさお)氏がオリンピック・パラリンピックのエンブレムデザインに当選したことを説明し、故人の御子息の栄光を祝福した。
第21回 日本人的メンタリティとは?
「日本人的メンタリティとは?」という今回のタイトルは、過去のMASセミナーの参加者によるアンケート結果から生まれました。メンタリティといえば人の行動や思考の背景にある心理的状態のことであり、個人の内面の問題です。しかし、「日本人的」というときには日本人が共有している意識、価値観の体系に関わっており、それが町や建築のあり方にも深く影響を与えているのではと思われます。このテーマは歴史や国民性にかかわるもので、あまりに壮大かとも思いましたが、日常的な体験を通した切り口で語ることができるテーマでもあり「皆で一緒に考える」というこのセミナーの主旨にあっていて興味深いと思います。
第20回 街と建築の未来への3つの提言―まずは港区からー
MASセミナーは今回で20回を迎えました。ここまで『みんなで考える街と建築の未来』を軸に、街に対する思いや街を形成する要素としての建築の可能性について、テーマに沿って会を重ねてまいりました。今回は未来の街並みと建築に具体的にイメージを提案できる試みとして3つの視点で地域会メンバーから提言し会場の皆様とのセッションを行いました。
第19回 街と建築を海外と日本から考える
「建築を通して住みやすい社会を目指している」との、今井代表の挨拶で始まった今回のMASセミナー。テーマ紹介のあと、参加者に外国生活経験について聞いてみるとかなりの人がいた。1970年代までのニューヨークは危険と隣合わせだった、などとの話題から本題に。
第18回 みぢかにほしいコミュニティ
今回のテーマは「みぢかにほしいコミュニティ」である。鈴木理己代表からJIA港地域会とMASセミナーの趣旨説明と共に「近所づきあいについてオランダは世界でトップで、日本は22位、オランダはその狭い土地であるが故に、干拓という共同作業と人口密度の高い地域性が影響しているとのこと。日本は農耕型コミュニティがあり、以前は向こう三軒両隣のお付き合いがあったが、最近はその関係が弱くなっている。」と話のきっかけを提供した。
第17回 癒され元気になる建築・街とは何か?
今回のテーマは「癒され元気になる建築・街とは何か?」である。建築と街に求められる根源的役割への問いかけ、である。それが解ければ、どのように建築を捉え設計すれば良いのか、どのように街づくりをすれば良いのか、を見つけることができよう。つまり、建築と街に対する評価軸を掘り下げるのが狙いである。年末の忙しい時期にも関わらず、10人の参加者を得て深みのあるセミナーとなった。
第10回 日本の街並みはなぜ美しくないのか
「シェアハウス・シェアオフィスが美しい街をつくる?」
昔の街を思い起こしてみよう。道には七輪で秋刀魚を焼くおばさん、縁側で将棋をさすお兄さん・・・・・。そこには醤油を貸し借りする関係があり・・・・公と私の区切りが曖昧で、場所や物、楽しみや悲しみを分かち合う(シェア)意識があった。
第8回 日本の街並みはなぜ美しくないのか
「我々はどこに住むべきか」
子供らしく住める街 幼少の頃住んでいた街が好きでした。“緑や川”が普通に生活のなかにあり、四季を感じて季節の花や昆虫や魚と共に暮らしました。目を瞑ると出てくるこの風景と街並みが現社会から消えつつあるのか。
第2回 日本の街並みはなぜ美しくないか
「バルセロナの街と建物」
バルセロナといえばガウディを思い描き、ガウディからはサグラダファミリアが瞼に浮びます。でも都市の街並みからみたバルセロナの真骨頂は何処にあるのでしょう・・・・・・